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競歩の話題・歴史など書きました
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 いよいよ世界陸上開幕まで1週間を切りました。
91年東京大会では男子20km競歩、女子10km競歩で幕を開けましたが
今回はは男子マラソンからスタートします。

 そのマラソンよりも長い、最長種目の男子50km競歩は
9月1日(土)7:00スタートです。
レースの模様は地上波で生中継されます。
競歩が完全生中継されるのは東京大会以来16年ぶり。
地上波で放送ということもあり、他の2種目よりは
ボリュームも多い内容で書きます

 なお、私は3種目とも観戦に行きます。
テレビで放送されない部分もレポートできればと思います。

※女子20kmについて、一応当日(8/31)の9:55~10:50の地上波放送にて
ハイライト的に放送されるようです。

会場図はこちら(大阪市サイト)になります。


 それでは日本勢も有望な男子50kmの見どころ紹介です。

 男子50kmは83年第1回(ヘルシンキ)から前回05年(ヘルシンキ)大会まで
すべてヨーロッパ勢が優勝している。
その中には、五輪3連覇を成し遂げた英雄コジェニョフスキー(ポーランド)が3度優勝(97、01、03)。
91年東京大会ではソ連の二人が友情の肩組ゴールインなど、伝説も数多く誕生した。

 
 そんなヨーロッパ勢に待った!を掛けそうな選手が登場した。
オーストラリアのディークスである。
2000年地元シドニー五輪では20km8位、50km6位のダブル入賞。
2004年のアテネ五輪では20kmで銅メダルを獲得した選手。
50kmでは失格も多かったが、昨年の12月に3時間35分47秒の世界記録をマーク。
20kmのエントリーも多かったが、今大会は50km1本に絞ってきた。
 

 おそらくレース中心になりそうなのがロシア勢であろう。
前回大会、圧倒的な力で制したキリディヤプキンは
優勝者のワイルドカード枠を使うため、
さらに国枠で3名、女子と同様ロシアは4名の選手が登場する。
アテネ五輪2位で昨年のワールドカップを制したニジェゴロドフ。
そのアテネ五輪で残り400mで逆転して3位になったヴォエヴォディンは
02年、04年ワールドカップ連覇。
今年の欧州カップを制したカナイキンは20kmで今季世界最高をマークした
スピードのある選手と、一見するとロシアの圧倒的有利に思える。

 しかしロシア勢にも付け入る隙は十分にある。
「次の」大会では振るわない選手が多い。
カナイキンは若い選手だが前回ヘルシンキ大会と昨年のワールドカップでは
早い段階で失格とフォームに難がある。
キリディヤプキンは昨年のワールドカップでは4時間17分台の大ブレーキ。
ニジェゴロドフは昨年のヨーロッパ選手権では15km過ぎで早々失格。
ヴォエヴォディンはワールドカップでは途中棄権したがこの中では、
前回2位など安定した成績を収めている。
そして、この暑さが彼らにどう転がり込むか。
 
 
 今シーズン世界最高(3時間36分4秒)をマークしているのが、
イタリアの22歳、スクヴァツェール。
前回大会20歳で銅メダルを獲得、イタリア記録を更新した。
そして今年の2月に世界記録まで17秒と迫る、世界歴代4位をマーク。
だだヨーロッパ選手権は途中棄権と、まだまだ未知数の部分も多い選手。
しかし、今後の競歩界で大物になる大器であることは間違いない。


 そして、私が期待しているのが、ニーマルク(ノルウェー)31歳。
胸毛の濃い、厳ついポセイドンな感じの選手だが
ここ何年かで徐々に力をつけてきた。
一昨年のメキシコ国際で優勝、前回はヘルシンキは4位に終わったが、
昨年のワールドカップで2位に入り、暑さにも強い。


 そして忘れてならないのが、スペインの大ベテラン、ヘススアンゲル・ガルシア38歳。
14年前、93年大会(ドイツ)の優勝者。世界選手権では金1・銀2。
その他、五輪・ヨーロッパ選手権など入賞の常連選手である。
50kmでは個性的な選手が多いが、その一番手が彼だろう。
一般に選手は1直線上に歩くことを教わるが、この選手は2直線歩行で歩く。
さらにスペイン伝統の力強い腕振りは、見ている観客の印象も強く残るはず。
昨年の37歳でヨーロッパ選手権2位。今期も中国での国際大会で3位に入る健在ぶり。
彼の動きにも注目して欲しい。おそらく最初は2番手集団にいると思われるので
どこまで上がってくるかが注目だ。

 そのスペイン勢も昨年のワールドカップ4位になったオドリオゾラにも注目だ。


 その他、昨年のヨーロッパ選手権をいきなり制したフランスのディニ。
入賞の常連、ポーランドの伝統を受け継ぐマグジャルチュク。
そして最近は暑さに対処が見られる中国勢も強敵である。
また、大きな大会では一人は入賞者を出すメキシコ勢が
どう復活してくるかにも注目したい。



 そんな世界と相対する日本勢に目を移すと、
日本はこれまで3度(91、97、05)の入賞経験がある。
97年の今村選手は出場選手中、唯一人自己記録(日本記録)を更新し
暑さに強い日本勢を印象付けた。

 今大会は山崎、明石、谷内の3選手が出場する。
山崎、明石両選手は前回に続き2回目、谷内選手は初出場である。
山崎選手は前回8位入賞、しかも全体的にタイムの速いレースでの
入賞とあって天候に左右されない日本勢という、新しい印象付けた。

 日本勢は山崎選手を中心に動くことになるだろう。
ひそかにメダルを狙っているらしいという情報もあり、
先頭集団での勝負を期待したいが、この暑さの中では後方から追い上げる先方も有効かもしれない。
ただし、それは後方の集団すべてにチャンスが出てくるわけなので油断大敵である。
山崎選手はご存知のとおり、この種目の日本記録保持者(3時間43分33秒)。
富山商高時代から逸材振りを発揮し、5000m、10km、20kmで高校記録を持つ。
しかしインターハイは北信越大会で失格して出場していないという逸話も併せ持つ。
20kmにも1年のときから取り組み、
3年次の神戸ではジュニア日本記録(1時間20分43秒)で優勝し周囲を驚かせた。
順大進学後は伸び悩み、インカレ(関東・日本)では一度も勝つことがなかった。
3年次に50kmに取り組み、初50kmとなった04年輪島で優勝。
そのままアテネ五輪代表となり16位。
前回ヘルシンキ世界陸上で8位入賞を果たした。
社会人2年目の今年、さらなる飛躍が期待される。

 
 明石選手は今では数少なくなってきた大学(東大)から競歩を始めた選手。
最初数年はフォームに難があり失格も多かったが、
ここ2年で足の運びが低い、世界の審判でも通用する歩きに変化した。
昔のフォームを知っているものとしては、この変化は努力のたわものであろう。
明石選手はレースの流れを読んで、自分のレースができる選手。
その結果が前回15位、昨年の高畠では敗れはしたものの
山崎選手のペースが鈍ったところへ、一気に追いついた。
彼も暑さに強い選手、気付くと入賞圏内に入る可能性を秘めている。

 谷内選手は、本人には大変失礼だが
国士大時代はインカレで入賞経験があるものの、
20kmも含めあまり目立った成績は少なかった選手だ。
そして卒業後も競技を続け、03年に初50km、
04年アジア選手権(20km)出場と徐々に力をつけ、
04年高畠50km優勝、昨年の輪島で自己記録を8分近く更新する
3時間55分台をマークしてA標準を突破。
初の世界選手権でどのような歩きを見せるかが楽しみである。


 さて、50kmだけで大変長く書いてしまったが、それだけ日本勢にも注目が集まる種目である。
さらにいろいろ競歩の真髄を見ることのできるのが50kmだ。
今回折り返しの周回コースとあって、多くの選手を見ることができる。

 トップで快調に進む選手もいれば、バテテフラフラになりながらも
懸命に歩く選手の姿を見ることができる。
50kmはマラソンよりも途中棄権者が少ないのが特徴。
失格の恐れはあるものの、自分からレースを投げる(途中棄権)は
せっかく練習してきたことがパーになると、なかなか辞めない選手が多い。
そんな彼らの懸命にゴールを目指す姿も見て欲しい。

 そして、選手が取る給水もマラソンと違った特徴がある。
91年東京大会ではソ連の選手が紅茶にジャムを混ぜたものを
摂取していたことが話題になったが、
給水も個性的なことが多く、日本の見ている選手に大いに刺激を与える、
そんなレポートも聞けるかもしれない。


 世界陸上まであと6日、競歩が新しい伝説を生み出すか?
日本勢の活躍にも期待がかかります。



以上
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無題
はじめまして。
世界陸上の男子50kmの応援に行く予定ですが、
選手からすると、
どのタイミングでどのように応援されるのが、
一番励みになるのでしょうか?
生競歩は初めてなので、ちゃんと応援できるかもわかりませんが、
お教えいただけたら幸いです。
osaka10 URL 2007/08/25(Sat)22:55: 編集
無題
>>osaka10さん
はじめまして。
いろいろあると思います。序盤余裕があるときは応援の人の数を確認することができますし、
終盤バテタときはもちろんですが、ペースを上げて前の選手を拾っているときもよい声援となると思います。
50kmは時間がありますので、あちこち動き回れると思います
rawk 2007/08/26(Sun)23:44: 編集
ニーマルク優勝祈願
香川県へ北欧4ケ国選手団が合宿に来て、偶然に道で出会ったのがニーマルク選手。誰かもわからずにサインを求めたところ、快く書いてくれました。その後も何度も顔を合わすうちに、ニーマルクからも声を掛けてくれ、気さくな性格に感激。応援しているうちに、どの選手よりも勝って欲しいと思っています。ニーマルクの応援の為、大阪にいくぞ!
カズヒロ 2007/08/29(Wed)00:18: 編集
Re:ニーマルク優勝祈願
>>カズヒロさん
はじめまして。
合宿地に居合わせたとは大変すばらしいことです。
私が個人的にノルウェーという国が好きなこともあって
ニーマルクを候補に上げています。
他にも女子のブレイザーも今大会の候補の一人。
ノルウェー勢にも注目しています
rawk 2007/08/30(Thu)03:04: 編集
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rawk
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IT業
趣味:
競歩
自己紹介:
競技暦11年

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