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競歩の話題・歴史など書きました
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 天国と地獄。人生山あり谷ありである。
スポーツでも大きな栄光と挫折がある。
特に競歩の場合は、その両方を容易に味わってしまう
可能性のある競技だ。
公式に失格が存在し、例えゴールラインをまたいでも
何が起こるかわからない。

 そんな天国と地獄を味わい、そして新たな道で輝きを取り戻した
東京世界陸上女子10kmを制したアリナ・イワノワ(旧ソ連・現ロシア)の戦跡を振り返る。

※昨年の世界陸上で世界記録をマークしたオリンピアダ・イワノワとは別人です

 イワノワが世界の上位に入ってきたのは89年ごろからである。
89年10km42分16秒で世界ランクトップへ踊り出る。
そして91年、2月のレースでその年の世界ランクトップとなる
42分17秒をマーク。

 そして世界陸上東京大会女子10km競歩。
8/24に行なわれたレースは、まず男子の20kmが行なわれ、
そのあと10kmがスタートした。
男子20kmでは運営のミスにより男子100mの予選の真っ最中に
トップの選手が入ってきてしまい、2位のソ連の選手が
ゴールを間違えるハプニングがあった。

 女子10km時はトラック種目はなく、この種目のみが行なわれていた。
スターとともにシドティらイタリア勢が先頭を奪う。
早くも集団は縦長になる。
トラックを出ると、1周2.6kmの周回コースを3週して戻ってくるレイアウト。

 イタリア、北欧勢が入れ替わり先頭を引っ張りながら
前回覇者ストラホーワ、イワノワ、サイコのソ連勢は集団の中で
様子を見ていた。
そしてラスト1周、残り3km地点でイワノワがスパートをかけた。
着いてきたのは陳(中国)のみ。スベンソン(スウェーデン)、エサイヤ(フィンランド)らは
置いていかれた。

 その陳も程なくして引き離され、残り2kmで単独トップとなった。
そして2位以下に30秒近い大差をつけて、42分57秒の大会記録で優勝を飾った。


 翌92年バルセロナオリンピック、女子の競歩が初めて採用された大会。
スタジアム前をスタートして丘を下り、周回コースを経て
再びモンジュイックの丘を登ってくるコース。
旧ソ連勢(EUN)と中国勢が最終的には争いとなり
きつい坂の途中から陳(中国)が抜け出す。
そのままスタジアムに入ってきた。
陳の後ろにイワノワとニコラエワ(EUN)、やや遅れて李(中国)。

 そして残り200を切ってイワノワが猛然とスパート。
一気に陳を抜き去りそのままトップでゴールで飛び込んだ。
駆け寄ったコーチと抱擁、ウィニングランをする中、
彼女に宣告されたのは失格。
スタジアム内での猛スパートが最後に取られてしまったのだ。
前年の世界陸上では1個もつかなかっただけに
最後は厳しい結果となってしまった。

 さすがにショックは大きく、このあと競歩から引退してしまった。



 その中から彼女は新たな道をスタートさせる。マラソン選手として。
徐々に頭角をあらわした彼女は、92年バルセロナオリンピックで
あの有森選手と優勝を争った同じロシアのエゴロワの
練習パートナーとしてさらに記録を伸ばした。

 東京国際女子マラソンや国際千葉駅伝に招待されるなど、
また日本の実業団チームに所属したことがあるので、
日本のファンにもお馴染みかもしれない。
あまり競歩での実績が取り上げられていないようであるが
偉大な東京大会のチャンピオンの一人なのだ。

2001年のロンドンマラソンで2時間25分34秒のベストタイムをマーク。
昨年の世界陸上にも出場し20位。今年の名古屋国際女子マラソンにも招待され12位。

 今年35歳。あの東京大会の金メダリストで現役でがんばっているのは
女子4X100リレーのマリーンオッティー(ジャマイカ→スロベニア)くらいだろうか。
かつて天国と地獄を味わった彼女が、その地獄をきっかけに新たな輝きを見せている。
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プロフィール
HN:
rawk
性別:
男性
職業:
IT業
趣味:
競歩
自己紹介:
競技暦11年

国際大会、歴史などさまざまな話題を時には楽しく、時には辛口に週一ペースで書いていく予定です。

内容は私個人の見解を書いています。

日本競歩界の見解ではありません。
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