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競歩の話題・歴史など書きました
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 今年で6回目となるインターハイ競歩。
全国大会とあってジャッジも厳しいものになる。
そんなジャッジに議論が起きた年がある。
2004年の男子5000mW決勝、競歩のあり方は何か?あれは審判のミスだなど
ネットだけでなく各地で聞いた。

 そんな議論についてちょっと書いてみたいと思う

 2003年の世界陸上(フランス)で日本選手5人中3選手が失格する事態となった。
日本の選手、審判の技術を向上させるため2004年1月、
国際競歩委員長のダミラノ氏(イタリア)を招いて審判講習会を開いた。
その講習会以降、ジャッジの方法が変わりいわゆる“厳しい”ジャッジとなった。

 その年の輪島大会で一般、ジュニアで失格者が続出する。

 そしてインターハイ、男子5000mWはゴール後に失格者が続出し
トップから多くの選手が失格したため、なぜあのようなジャッジが行なわれたのか
審判は何考えているのかなど議論が起きていたのを憶えている。
しかし私はレース展開を観て、なるほどなと思ったのだ。

 このレース優勝タイムが22分42秒だったのだ。
インターハイ6回の内最低タイムである。
しかも最初の1000mはけん制と審判の恐れか4分55秒という超スローペース。
そして徐々にペースが上がって最後はおそらく4分10秒台であろうと思われる。
最初がこれだけ遅いと、選手の動きも楽な分、あとあとフォームに差が出てしまう。
なぜならペースが楽な分きちんとしたフォームが整っている
そんな状態が体に染み込んだ状態で、一気にペースが上がると
審判にも最初のイメージから変化が生じるとジャッジを振る距離も遅くなる。
以上は私の見解であるが、あながち間違えではないと思う。

 これは「審判のミス」ではなく「選手のミス」だ。
高校生はフォームも未熟である、失格することは技術が悪いということを自覚しなければならない。
ただし失格のあとフォローできる指導者が少ないことは今後の課題であることは
言うまでもない。。


 ジュニアだけでなく世界のレースでも同じことが起きたことがある。
1993年の世界陸上(ドイツ)男子20kmW。
真夏の暑い午後のレースで序盤からスローペースで展開。
最初の10kmを42分30秒と世界大会とは思しきペースで進んだ。
この中には日本の酒井浩文選手も含まれていた。
そして、後半一気にペースが上がりスペインのマッサナが抜け出した。
マッサナがトップでスタジアムに入ってきたあと大きな波乱が起きる。

 2位で進んでいたショチェンニコフ(ロシア)、3位のガルシア(メキシコ)が
スタジアムに入ったところで失格、4位で入ってきたセグラ(メキシコ)も失格、
さらに14位で入ってきた酒井選手がゴール手前50mで失格となり
この模様はTVでも中継されており、総集編でも取り上げられた。

 原因は何だったのかというと、マッサナの優勝タイムは1時間22分31秒。
つまり後半10kmを40分でカバーしたのだ。おそらくラスト5kmは19分中盤くらいだろう。
序盤21分台で進んでいたのが一気にペースが上がった結果が
失格者7名の内、6名がスタジアム内だったという事態を産んだのだ。
高校生だけでなく世界のトップでもスローペースが産んだ悲劇が存在するのだ。

 
 あるとき失格のお陰で順位が上がるなんてずるいような意見を耳にした。
実際某国体で失格した県の役員が、競歩無くしちゃえ的な苦情も出たことも聞いたことがある。
しかし世界の選手、日本の50kmの選手などは何が起こるかわからないため
最後まで「諦めない」のだ。長く続けている選手は皆タフである。
実際、オリンピック世界選手権で競歩はマラソンよりも途中棄権者が少ない。
競技人口が少ない分選手の結束力は高い。みんなで盛り上げようという意識が
他の種目に比べて高いのである。どんなタイムになろうと比較的ゴールまで辿り着こうとする。

 そして練習が過酷である分、途中棄権はそれまでの自分を否定するようなものである。
私も学生時代50kmのレースを経験したが、どんなに苦しくても途中で辞める勇気はなかった。
支えてくれた仲間、こなしてきた練習、全てを捨てることはできなかった。
こんな思いになれるのも競歩、取り組んだだけ結果が出るスポーツである。

 
 ちょっと話が変わるが、今日まで自転車レースの最高峰ツールドフランスが行なわれている。
今年は総合トップが何度も入れ替わる面白い展開。
そして水曜日のステージでトップだった選手が、最後の山で脱水症状に陥り
一気に10分以上遅れ、11位まで順位を下げてしまった。
これで終わりかと思われたが、翌日のステージで序盤からアタックして逃げ
この10分を取り返すした。昨日のステージで総合トップに立ち優勝を決めた。

 諦めない心は競歩も自転車も同じ。たとえ競歩で失格となっても
腐ることなく競技を続けることで栄光もある。

 インターハイまで残り2週間、選手たちには失格を恐れず積極的なレースを期待したい。
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プロフィール
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rawk
性別:
男性
職業:
IT業
趣味:
競歩
自己紹介:
競技暦11年

国際大会、歴史などさまざまな話題を時には楽しく、時には辛口に週一ペースで書いていく予定です。

内容は私個人の見解を書いています。

日本競歩界の見解ではありません。
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